May.18 2021
父を偲ぶ #reform
昭和から平成、そして令和へ。
時代の移り変わりと共に、経年劣化していく工作物。
築造 35 年の外部空間を、リノベーション。
” リノベーション ” とは、革新、刷新、修復を図ること。
” リフォーム ” がマイナスにある状態のモノを、ゼロの状態まで戻すため、
機能を回復させるという趣意に対して、リノベーションはプラスアルファで、
新たな機能や価値を向上させることを表します。
亡き父上が愛着を持っていた、洗い出しの施された外塀は保存する。
スクラップアンドビルドは、しない。
設計者として、偲ぶ想いがある。
遊離石灰が析出し、剥離や折損が著しいモルタル笠木は、
シャープな玄武岩のボーダーにチェンジ。
石質のラインが陰影を生み出し、空間を引き締めます。
昭和感の漂う内開き門扉と鋳物フェンスは、一新。
シンプルな間仕切柱タイプのフェンスが、抜け感を出しながら、
奥行きの少ないアプローチでは、ノンレール式の引戸門扉が敷地対応力を発揮。
有効開口のスペースが広くなり、スムーズな動線を確保します。
ファザード空間のアクセントには、フレームユニットを採用。
シンプルで洗練されたフレームによる立体的なデザインが、
住宅外観を引き立てます。
2 パーツ構成のフレームは、ネジやボルトといった金具部品を見せないという、
細部までスマートで、ノイズレスなデザイン。
金属光沢と主張を抑えた、マットブラックを選択しました。
工業製品ならではの、美しい仕上がり。
工作機械のエンジニアだった父上に捧ぐ、エントランス空間。
ラインライトのスリットは桁と一体化しており、
照明の存在感を感じさせないスタイリッシュな納まりで、
夜間の安全面と防犯性を思慮。
ありがとう。
YKK AP
Exterior Style Award 2021
リフォーム・リノベーション部門 ベストスタイル賞